柴犬をはじめ、日本犬のあるべき姿というものは日本犬標準に示されている通りです。
そしてこの日本犬標準というものは、中型犬のものが基本となっており、そのほとんどが中型犬のものが(体高以外は)適用されています。犬の本質面についても大体同じように中型犬のものを基準として示されています。
その中でも柴犬、つまり小型犬に関しては、日本犬標準解説によると「しかしながら小型愛翫犬としてもその日本犬としての本質其の他に於いては何等中型犬と変る所のないものであって、むしろ同一本質を有しながら小型なることにより賞翫さるる点に於いて愛翫番犬たり得るものである。」とされています。
つまり、中型と同じ本質を持っていながら小型であることにより特別の価値がある、ということだと説明されています。
しかし、はたしてそれだけでしょうか?
たとえ素晴らしい中型犬であっても、それをそのまま小型にしたところで、素晴らしい柴犬が完成するわけではありません。
過去に審査部長をされていたある方は、「過去に太く重い柴犬が高位に入賞したことがある。これは展覧会至上主義の陥りやすい落とし穴である」と述べられています。
体が美しく整っているだけでなく、
十分に機能しなければ意味がありません。
昔から日本犬について研究しており、柴犬に非常に詳しいご年配のとある方は、「昔、長野県の奥の村で柴犬を見た。その犬は大きな犬に腹を噛まれて大けがをしており、病院でけがを縫うことになったが、その犬は傷を縫われている間悲鳴も上げずにうなりながら耐えた。そしてまた自分を噛んだ大きな犬に出会ったとき、変わらず悠然と向かっていった。」と語ったそうです。
また別の人は、「柴犬を見るには小石を一個投げてみなさい。そしてその時犬がどういう動きをするか観察してごらんなさい。柴犬は大きいサイズの犬とは違って、俊敏な動きをする。歩き方も違う。ピッチが早く、背が揺れず、方向転換が早い。よい柴犬とはこの動きを簡単にやってのける。毛の色がきれいだとか、歯の有る無しにこだわる人はずっと柴犬を理解できないままだろう。」
という風に語ったそうです。
いつも記事を楽しみに見ております。その通りですね。この俊敏な筋肉質の動きは、びっくりしております。